wonder PHOTO POJECT

 

wonder「ボクの左側」

it was "dramatic every day".
 
  

scene#08 モノクローム

「さあ、降りるよ。」
 
ボクらは電車から降りて、ホームに降り積もった雪に、ゆっくりと足を踏みしめながら改札口へ向かった。
 
はじめて降りる駅。そして、ボクの知らない街。
 
駅舎の出口から見える景色はあたり一面に雪が広がって、それがどんよりとした雪空の鈍光をフォローするように、あたりに柔らかい光を反射させていた。そして、雪の割合が多いからなのか色が少なく感じて「モノクロームの街」という表現が似合うな。と、思った。
 
彼女はボクの手を離し、踊るように駅舎前の広場に駆けていく。そして、小さな手のひらいっぱいに広げて、今も舞い落ちる雪の粒を、小さなカラダいっぱいに受けとめる。頬に雪の粒をつけながら、空を見上げるその姿はまるで無邪気な子供のよう。
 
ボクはバスの停留所にあるベンチに座り、はらはらと振り落ちる雪を眺めていた。しばらくして、ボクは無意識にベンチから立ち上がり、空に顔を仰向けてこちらに向かってくる雪の粒を見つめていた。このとき、彼女の言っていた雪の匂いと音を感じた。ように思えた。
 
なんて言い表したらいいかわからない。でも、確かに感じることができた。音といっても擬音にできるようなものではなく、耳鳴りのような、でも耳障りではなく、別の世界に吸い込まれるような変な感覚だった。
 
サラサラすぎて雪玉にできない。と、怒る彼女の声にハッとして我に帰る。
 
「これじゃ雪合戦ができないじゃない!」
 
と、またここでも地団駄を踏む彼女。
 
何度か挑戦をしたけれど、諦めたのか、また踊るように両手を広げて雪の粒を体に浴びていた。ひらひらと翻る真っ赤で長いマフラーがモノクロームの世界に、より一層映えていた。

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